フルートの運指の特徴は手が目に入らない位置にあることです。
両手が顔の右側にくるのでどうやっても指先が見えない。
見えたとしたら…
顔が完全に右を向いているはずなのでそうなると歌口から口元がずれていて
音を出すことはできないでしょう(笑)
この点が、フルートを難しいものにしている要因の一つだと思います。
5歳ぐらいのお子様からレッスンを行っていますが、
最初は呼吸の練習
その次に、この目に見えない位置にある指先をコントロールしていきます。
ある時はビーズをつまんだり、鏡を使ったり。指先の動きを実感し、それが見えない位置になっても変わらずに動かせるように一歩ずつ認知を高めていきます。
とても高度な脳作業ですよね。
モンテッソーリにも目隠しをして重さを比べるお仕事や匂いを比べるお仕事など、
視覚を使わないものがありますが、全身の感覚が研ぎ澄まされ刺激を受ける、日常生活にはあまりない行動です。
そんな難しいことを要求するわけですが、
レッスンの途中で生徒さんが嫌になってやめてしまうことはほとんどありません。
難しいことって面白いんだと思います。
先生が軽々音を出すこの筒を、どうにか自分もこなしてみたい!!
そんな気持ちになるようです。
リードやマウスピースといった発音媒体もなく、指先すら見えない。
この不思議な難しい楽器の魅力です。